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1976年の暮れ。9月まで続いた前作のツアーも終わり、GENESISは新たなアルバムの制作に入った。前作はPeter gabriel脱退ということもあり、メンバー全員で楽曲アレンジに取り組んでいたようだが、本作のメインコンポーザーは均等に担当しているようだ。それでも前作以上にTony Banksの作曲面での貢献が強く、キーボードのオーケストレーションを生かした「One For The Vine」などは本領発揮といった感じだ。前作に比べ、大きく変わった点はキーボードの使い方だろう。あまりの派手なアンサンブルに、ギターの存在が薄く思われるが、良く聴くとSteve Hackettも良い仕事をしている。ソロ・アルバムを発表したSteve Hackettは曲のネタが断片的な物しかなかったというが、「Wot Gorilla」の没素材の中には、後に自身のソロ・アルバムで使用されるフレーズがあったと証言している。その曲は「Please Don't Touch」だそうだ。Steve HackettのNylon Guitarが郷愁を描く「Blood On A Rooftops」は、もっとこの路線を聴いてみたいと思わせる曲調である。また、こういった曲にPhil Collinsの声はとてもよく合う。 シングルカットされたのはMike Rutherford作曲の「Your Own Special Way」。単調そうに見えて、変則チューニングで演奏されている(そのままでも弾けるんだけどね、とはバンドメンバーの意見)。ライヴでも披露されたが、ステージ映えしない曲である。1986年のInvisible Touchのツアーでストリング・カルテットと共演をし、この曲が再演された。そのヴァージョンはとてつもなく美しい。 GENESIS版トムとジェリー「All In A Mouse's Night」はリズムのアプローチが面白い。こういった御伽話風の曲調もこのアルバム以降、少しずつ消えていく。ラストシーン、化け猫ならぬ巨大ネズミに怯える猫たちをSteve Ha"Cat"がギターで表現している。(ライヴではこんな紹介がされている) 「Blood On A Rooftops」が終わると、圧巻の組曲へ。邦題が素晴らしい「まどろみ」は、まさにそのものの曲調。さりげなくTonyもSteveも高速アルペジオを披露している。続けての組曲は文句なくカッコいい。そして、続けてライヴのハイライト曲となる「Afterglow」へ。Tony Banksによると、あっという間に出来上がってしまったと言われる曲だが、エンディングのメロトロン+コーラスのこれでもか!な大げさアプローチは後にさまざまなバンドに模倣されることとなる。 【備忘録】 シングルカットされた「Your Own Special Way」のカップリングは、前作のアウトテイク「It's Yourself」。曲の一部は「Los Endos」のイントロ部分に使用される。それまでブートレッグで出回っていた「Beloved Summer」というタイトルでは、ワンコーラス多いヴァージョンだったが、2008年に発売されたリマスターのボックスセットのボーナス・ディスク(ややこしい)に初めてフルコーラスが収録された。ただし、最後のフェイドアウト後に「チリ〜ン」と鈴の音が聴こえるのは、実は日本盤シングルのみである。「Your Own Special Way」の編集も、中間部分がないもの、2番から始まるものなど国ごとにバラバラなのが面白い。 センスの良いジャケット・デザインはヒプノシス・チームのイラストレーター:コリン・エルジーが担当。でも、ヒプノシスが担当したなら、この位、実写で出来たのに…と思ってしまうのは私だけだろうか。 上に並んでいるのは、オーストリアのファンクラブに向けて作られたオリジナル・ジャケット。ほとんどブートレッグである。
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